昨今、BtoBマーケティング業界でリード獲得のために使用されるホワイトペーパーですが、営業資料との区別があまりついていないという方も多いのではないでしょうか。どちらの資料も情報を提供するという意味では同じように見えますが、では一体ホワイトペーパーと営業資料のどこが明確に違うのでしょうか。
本記事ではホワイトペーパーと営業資料の違いからホワイトペーパーを使った営業活動の効率化というとこまで解説します。
ホワイトペーパーとは
ホワイトペーパー(White Paper)とは文字通り「白書」という意味で元々は公的文書のことを指しており政府などの機関において使用されていました。
現在では、BtoBマーケティングの業界において企業が顧客を獲得するために特定の問題や課題に対する分析や解決策を提供するダウンロード資料という意味になりました。教育、問題解決、リードジェネレーションなどさまざまな分野において使用されています。
営業資料とは
営業資料とは、営業プロセスをサポートするために作成される一連の資料やドキュメントのことを指します。これらの資料は、営業担当者が顧客や見込み客に対して自社の製品やサービスを魅力的に説明し、提案し、最終的には商談成立を支援するツールです。
ホワイトペーパーと営業資料の違い
作成時点における視線
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは顧客の課題や問題点に対してアプローチするので目線が顧客側にあると言えます。
営業資料
一方で営業資料はというと自社の製品や情報を相手側にアプローチするので目線がこちら側であると言えます。
目的
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーの主な目的は、特定の問題や課題に対し詳細に分析したり対処法を提案したりすることで、読者がそのテーマについて理解することを目的としています。また専門的な知識を提供することによって企業や会社の信頼性を上げる役割もあります。
営業資料
営業資料の主な目的は、顧客に対して直接製品やサービスの魅力を伝えて購買意欲を引き出すことです。商談を成立させるためのツールとして顧客の売買判断を支えるものです。
活用場面
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、マーケティングの手法のひとつとして活用されています。リードジェネレーションとして、ダウンロード時に個人情報の入力を促し、その情報に基づきDMやインサイドセールスによる架電、展示会への招待など、顧客へ営業活動を行います。
営業資料
一方で営業資料は、商談やプレゼンテーションにおいて使用され、製品やサービスを顧客に対して直接、具体的に伝えるときに使われます。
ホワイトペーパーを使った営業の効率化
このように、ホワイトペーパーは、営業活動を効率化させることができるツールであり、営業資料とは役割が少し異なります。ここではホワイトペーパーを使った営業の効率化の方法についてご紹介します。
リードの獲得
ホワイトペーパーは興味を持った顧客が資料をダウンロードすることによって企業が顧客の情報を得ることができます。BtoCに比べてBtoBは顧客の個人情報をそれほど提供しなくていいので、情報提供のハードルが低いと言えます。
リードナーチャリングでの見込み客の育成
また、リードナーチャリングによって見込み客を顧客へと育成することができます。顧客のニーズに合った資料を提供することで見込み客を教育し、購買意欲を促進することによって将来的な顧客へと導くことも可能です。
より良いタイミングでの営業
続けてリードナーチャリングを行うことによって顧客との信頼関係を築くことで自社ブランドとのエンゲージメントが高まります。そしてこちら側からいつでも新しいホワイトペーパーを送ることができ、顧客の動きを観察し的確な機会をみて営業することができます。
ホワイトペーパーの種類
ここでホワイトペーパーのおおまかな種類について触れていきたいと思います。
課題解決型ホワイトペーパー
課題解決型ホワイトペーパーは、特定の問題に対する解決策を提供し、読者の課題解決を支援します。実際に自社のサービスによって実現されたソリューションを紹介するなど、専門性やスキルをアピールできる機会にもなります。
事例紹介型ホワイトペーパー
事例紹介型ホワイトペーパーは、実際の顧客事例を通じて、製品やサービスの効果を具体的に示します。社名入り事例を用いることで説得力を高め、リードに対して成果を示すことができます。実際の事例に基づきインタビューを行い、生の声を聞いて取り上げるのも効果的です。
レポート(教育)型ホワイトペーパー
レポート型ホワイトペーパーでは、市場調査や業界のトレンド分析など、詳細なデータや情報を提供します。客観的なデータを用いることで会社や企業の信頼性を高めることもできます。
技術解説型ホワイトペーパー
技術解説型のホワイトペーパーは、新しい技術や製品の技術的な側面を詳しく説明することを目的としています。このタイプは、企業などが何かを新規で始めたい時や、改善をしたいときに役立つホワイトペーパーです。
ホワイトペーパーの制作方法
それでは実際のホワイトペーパーの制作手順について説明します。
ターゲットオーディエンスの特定
誰に向けてホワイトペーパーを作成しているのかを明確にし、読者がどのような情報を求めているかを理解することがスタートラインです。例えば「今更聞けない、ホワイトペーパーの基礎知識」などのタイトルにすれば、今からホワイトペーパーについて勉強する人や、もう一度復習したい方などをターゲットにできます。
研究とデータ収集
信頼性があるデータや情報を基にコンテンツを作成します。このステップを踏まなければ信頼性に欠け、見込み客の現象を招きます。最新のデータや業界のトレンドを載せることで、読者に対して価値のある情報を提供することができます。
ドラフトの作成
最初の草稿を作成し、構成を細かく詳細に練り上げます。この段階では、文書の流れや論理性を重視し、後々のトラブル防止のためにも、関係者にフィードバックを依頼して内容の正確性を担保しながらすすめることも重要です。
内容の見直しと編集
誤字脱字の校正はもちろん、文章の流れや一貫性を確認し、必要であれば修正、改善を施しましょう。また、文章の最初に「このホワイトペーパーを読めば何がわかるのか」を明示することによって、読者の離脱を防ぐことができます。
デザインとフォーマット
読みやすさと専門的な見た目を保証するために、適切なデザインとフォーマットが必要になります。図版や表、グラフなどの視覚的な要素を取り入れることで、読者にスムーズに内容が伝わり、情報の伝達力を高めることができます。
ホワイトペーパーを作る際の注意点
ターゲットの設定
ターゲットを設定することで、ホワイトペーパーの内容により一貫性をもたせることができます。
専門性の高い読者を想定している場合と、専門性の低い読者を想定している場合だと、その表現の方法は異なります。より具体的に、ホワイトペーパーを読んでほしい業界・企業規模・所属組織・事業内容など、読み手をイメージしてターゲットを設定することが重要です。
専門用語を避ける
顧客が資料に目を通しているとき、専門用語や難しい単語が多すぎると読み手はつまずいたり読んでいて疲れたりする可能性があります。そのようなトラブルを防ぐために誰にでも理解してもらえるような言葉を用いるように意識しましょう。
ダウンロードされた資料は修正不可
資料配信前にはもう一度内容にミスがないか、データの誤りはないか、誤字脱字はないかなどを確認しなければいけません。なぜなら一度ダウンロードされたコンテンツの内容を変えることはできないからです。データのミスなど、資料の信頼性を損なう内容をそのまま使用してしまうと、企業全体の信頼を落とす可能性も生じてくるので、しっかりとチェックしましょう。
まとめ
ここまでホワイトペーパーと営業資料の違い、ホワイトペーパーがなぜ営業を効率化できるか、そしてホワイトペーパーの種類、実際の制作方法についてお話ししました。ホワイトペーパーは営業活動の効率化に非常に有効な手段です。
ホワイトペーパーを起点にしたリードが商談化しているということは、その見込み客が製品やサービスについてあらかじめ情報を得ている状態といえます。そのため、実際の営業の際には、サービスについてより深く理解していただくことに集中できます。これにより、商談の進行がスムーズになり、顧客の意思決定を促進させることができます。